【第1章】病気を隠して働き続けた日々
精神科に通い始めたころ、主治医にはっきりこう言われました。
「正社員で働くことは難しいです」
その言葉を、私は受け入れることができませんでした。
「まだ働けるはず。自分はそこまでひどくない」
そう思いたい自分がいたのです。
だから、精神障害2級であることも、定期的な通院も、毎日の服薬も—— 全部隠して、健常者として一般の求人に応募し続けました。
採用されるたびに「今度こそ大丈夫」と思いました。
でも、働き始めると病気が再発して、また退職せざるを得なくなる。
その繰り返しでした。
【第2章】このままじゃいけない
何度目かの退職をしたとき、ふと思いました。
「このままじゃ、同じことを繰り返すだけだ」
病気を隠して働く。再発する。辞める。また隠して応募する。
その繰り返しに、もう疲れていました。
「何か別の方法はないのか」
自分なりに調べ始めたのは、そんな気持ちからでした。
調べていくうちに、「障害者雇用」という働き方があることを知りました。
障害を隠さず、病気のことを理解してもらいながら働ける場所があること。
障害者手帳があれば、その窓口に相談できること。
「これなら、同じ繰り返しにならないかもしれない」
初めてそう思えた瞬間でした。
【第3章】手帳を作る決意
調べるうちに障害者雇用のことを知った私でしたが、 すぐに手帳を作ろうとは思えませんでした。
「障害者手帳を持つ=一生治らない」
そんな気がして、どうしても踏み出せなかったのです。
「精神病は治るんじゃないか」 「もう少し待てば、普通に働けるようになるんじゃないか」
そういう期待が、ずっと心のどこかにありました。
でも、何度考えても、行き着く答えは同じでした。
「私は、働きたい」
おしゃれなオフィスでなくていい。 高い給料でなくていい。 ただ、毎日仕事に行って、誰かの役に立って、 自分の力で生きていきたい。
その気持ちだけは、揺らぎませんでした。
「手帳は、そのための手段だ」
そう決めた日、病院のケースワーカーさんに相談しました。
手続きはケースワーカーさんが丁寧にサポートしてくださり、 気づいたときには手帳が手元に届いていました。
手帳を手にしたとき、不思議と泣きませんでした。
ただ、静かに思いました。
「これで、前に進める」
【第4章】障害者手帳が人生を変えた
障害者手帳を作って、最初に感じた変化は 「病気を隠さなくていい」という安心感でした。
ハローワークの障害者雇用窓口に通ううちに、 担当の職員さんと顔なじみになっていきました。
障害者雇用枠での就職は、これが2社目です。
1社目でまた再発して退職し、 自宅で療養していたある日、電話が鳴りました。
ハローワークの職員さんからでした。
「紹介したいいい会社があるので、面接を受けてみませんか」
私は迷わず「はい」と答えました。
まだ本調子ではありませんでした。 病み上がりで、体も気持ちもふらふらしていました。
それでも、希望を持って面接に行きました。
後から知ったのですが、ハローワークには 非公開の求人リストがあります。 一般には公開されていない、優良企業の情報が 別に用意されているのです。
顔なじみの職員さんが、私のことを覚えていてくれて、 その情報を届けてくれた。
今の職場に出会えたのは、そのおかげです。
あのとき「はい」と答えた自分の決断を、 今では本当に良かったと思っています。
【まとめ】あなたへ
当時の私は若く、親も元気でした。 働かなくても生活できる環境でした。
でも今は違います。 親は他界し、姉妹と暮らしながら、 自分の生活費は自分で稼いでいます。
生きていくためにお金は必要です。 でも、働くことにはお金以上の素晴らしさがあると、 今の私は知っています。
転職は、若いうちにしておいた方が有利です。 これは、30社経験してきた私が断言できることです。
そして、働いていない時間を悲観しないでほしいのです。
いったん何もかもゼロになって、 これから何をしようと自由な時間—— それはとても贅沢で、貴重な時間です。
本当にやりたいことや、興味のあることに じっくり向き合ってみてください。
縁はどこにつながっていくかわかりません。
自分を信じて、行動してみてください。
あなたの「はい」が、新しい扉を開くかもしれません。
もも

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